2004年3月12日


12日は、卒業式のリハーサルだ。
式に参加できないわたしはやる気もなく、遅刻して行ったらわたしの席すらなかったので困ってしまった。

それが終ると、優美とゴハンに行くことにした。
が、夕方部屋にいなければいけないわたしの事情から、
優美を部屋に招いてお昼。
うどんと、鶏のホイル焼き。
優美がこの部屋に来るのももう最後だ。

優美が帰ってから、清掃センターの方が居候の洗濯機を回収に来た。
洗濯機と一緒に、漱石が何枚か飛んで行った。

6時に、明日の髪型相談のために美容院の予約。
その日はけんじくんが来る予定だったので、
今のうちにゴハンの下ごしらえをして、美容院の後調理して、
それでけんじくんを迎えれば完璧だ。
そう思っていたのに、そういえば今日は朝もお昼も午後も電話が来ない。
いや、正確には、朝電話があったのにわたしは爆睡していて気付かずにいて、
起きてメールしたのに音沙汰なしだったのだ。
なんかあったのかしら。
の、矢先、電話。
『実は今日仕事休んでさ』
『・・・はぁ?』
『パチンコ行ってて。あ、いや、お前に指輪買ってやろうと思って』
『・・・それで? いくら負けたの?』
『ちょっとやばいですね。言えない』
・・・ばか。
前々からけんじくんはわたしに指輪をくれるつもりでいて、
わたしはさして欲しいとも思っていなかったんだけど。
わたしにくれるくらいならまいこちゃんにあげたらいいのに。と思いつつ。
それが結局、この日のパチンコでなくなったのだ。
『俺、夜予定入ったからこれからお前んち行くわ』
大負けしたショックと疲れと睡眠不足が相まって、幻覚は見えるわ熱っぽいわでボロボロ。
部屋にやって来た彼をベッドに横にならせると、ふっと目を離した隙に寝息。
おつかれさま。
寝ているうちに美容院へ。
髪型は割とあっさり決まって、早々帰路。
と、けんじくんから電話。
『無呼吸で起きちゃった』
これだから心配。
『お腹空いたから早く帰って来てね』
かわいいやつ。

部屋に帰ってひとがいるのは、なんだか久しぶりだ。
『ただいま』
『おかえり』
それがあったかい。
美容院の前に作っておいた煮物を出して、
ビールで乾杯してわたしは鶏を焼く。
ぶっちゃけ、うちには買いだめしていた鶏のむね肉が大量にある。
引っ越す前に食べきらなくちゃいけないので、申し訳ないがけんじくんは来る度に鶏だ。
それでも、ホイル焼きにしてみたり照焼きにしてみたりトマト煮にしてみたり茹でてみたり、
ない頭と腕を使って頑張ってはみている。
で、この日は味噌照焼き。
白ごまもからめて。
『お前腕上がったな』
と、珍しく褒められた。
初めてけんじくんに料理を作ってあげた時、わたしは見事な大失敗をやらかした。
以来、彼の中でわたしは“料理の出来ない女”だったのだ。
ささやかに反論するならば、わたしは時間があれば自分のためにだってちゃんと料理する女だったし、
学校にだってお弁当を作って持って行ったし、
ゴハンを食べに来る男も過去にいた。
優美やりさが部屋に来るときも作っていたし、
更に言うなれば、居候には毎食(たとえわたしが友達と外食する日でも)ゴハンを作っていたのだ。
ここに来て、濃い口好みのけんじくんのために味付けを少し濃くしたことが、
腕の上がりらしい。
不健康なけんじくんのために薄口の料理を心掛けていたのに、
なんていうか皮肉だ。
ゴハンの後、しばしゆっくりして、
あ、書き忘れるところだった。
美容院から帰宅したわたしに、けんじくんが
『プレゼント』
と言って3枚のポラロイド写真をくれた。
いや、カメラもフィルムもわたしのなんだけど。
『起きて暇だったからカメラで遊んでた』
なんてかわいく言われて、写真を見たら、
うちにあったミッキーのかぶりものをかぶって自分を撮ってた。
・・・バカ。
バカな子ほどかわいいなんてよく言ったものですね。
半ば呆れてしまった。
かわいいやつ。

友達との約束があるとかで早々に帰って行ったけんじくんから電話。
『ドタキャンされちゃった』
『あら。戻って来る?』
『そうしようかとも思ったんだけど、もううちの近くまで来ちゃったから帰るわ』
『あら、そう』
『しかも明日休みかもしれない』
『よかったじゃん。あ、じゃぁ午前中付き合ってよ』
『なんで』
『わたし式出れないし、式の間暇だから』
『ふーん・・・起きれたらな』
けんじくんが来てくれるなら、明日のオシャレにも気合いが入る。



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