2004年4月13日


驚くべきことに。
驚くべきことに、全く同じ仕打ちを受けた。
まさしくこれは、同じ穴のムジナ。
ひとが死んだら輪廻転生するように、
月日が流れてまた春がやってくるように、
流行が何十年かごとに廻って来るように、
いいことをしたら自分の身にもいいことが降って来るように、
悪事は自分の身に降りかかった。
善因善果、悪因悪果。
つまりは自業自得という奴で、わたしはひたすらに反省した。

回りくどくなった。

佐野くんに、携帯を見られたのだ。
つまり、わたしがけんじの携帯を見てまいこちゃんの存在を知ったように、
佐野くんはわたしの携帯を見てけんじの存在を知ったのだった。

今日は佐野くんとお花見の予定だった。
どうしてもお花見に行きたくて、わたしから誘ったのだ。
で、仕事が終わって、佐野くんちに寄って着替えさせてもらって、お花見。
・・・の予定だった。
佐野くんちに着いて、着替えた。そこまではよかった。
車に忘れ物をしたので取りに一度部屋を出て、部屋に戻る。
『今付き合ってるひといないの?』
と、佐野くんが突然聞いてくる。
『へ? なんで?』
『なんでそんなこと聞くのか知りたい?』
『うん』
“なんでそんなこと聞くのか”よりも、“なんでそんなこと聞くのか知りたい?”って聞くほうがわたしには謎だったけど。
『さっきさぁ、あずみちゃんが部屋出た隙に、携帯見ちゃったんだよねぇ』
なんて、アッサリ言うからびっくりした。
本当にアッサリ、自然だったのだ。
まるで、“今日さぁ、お昼エビフライだったんだぁ”みたいな。
そんな、他愛もないことを言うかのように。
腹が立った。
ココに来て自分のこと棚に上げるようだけど、
付き合ってもいないひとの携帯見ますかね?
あたいのプライバシーはどこへ?
でも、それ以上にやっぱり、今までずっと佐野くんを騙していたっていう罪悪感が強くて、
何も言えなかった。
何を言っても言い訳になると思ったし、
何も言わずにいた方がいいような気がしたのだ。
まいこちゃんの存在を知ってしまったとき、
わたしはけんじくんを、“何か決定的な一言”で彼をどこまでも傷つけたかった。
でもその一言が思いつかなくて、結局不完全燃焼だった。
佐野くんも同じ気持ちなら、彼の気の済むまで、彼の言いたいことを聞いてあげようと思った。
それが懺悔だと思った。
『俺のことずっと騙してて、楽しかった?』
楽しいわけないじゃない。
反省した。すごく。すごく。
でも、腹が立つこともやっぱりたっぷり言われた。
『そんなことばっかりしてると、人間不信になるぞ』
そりゃわたしは今までいっぱいひとを騙してきたし、その分騙されてきた。
それでも、バカかも知れないけど人間不信になんてなってない。
『そういうことしてる奴って、結局センスがないんだよな。生きていくセンスが』
『つーか、わたしは別にセンスのある生き方したいなんて思ってないし』
・・・と、思わずムカついて言い返してしまった。
『そういう佐野くんはセンスのある生き方してるっていうわけ?』
と聞いたら、『さぁね』なんてセリフくさい言い方されたのもムカついた。
もっともっと、わたしを叱って、なじって、傷つけて欲しかった。
でも彼のなじり方も傷つけ方も、わたしの求めている方法とは違って、
結局腹が立ったまま帰った。

やっぱり彼とは合わないんだ。
なんて、スッカリ何もかも終わった後で改めて思った。
合わないことには2ヶ月も前から気付いてたけど、
それは話すたびに露見してくることだったけれど、
それでも“会いたい”って思ってしまうなんて、
わたしは佐野くんが好きだったんだ。
ちゃんとちゃんと、好きだったんだ。
なんて、スッカリ何もかも終わった後で思った。

イライラしてしまったので、帰りにスーパーでビールを買って、
帰宅して煽った。
で、勢いに任せて、佐野くんのメモリから着歴からメールまで、全部消してやった。
さよなら、佐野くん。



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