2004年5月1日〜2日


久しぶりにけんじに会った。
やっと、やっと。
2度あることは3度なく、
3度目にやっと正直が現れた。

仕事が終わったのは7時半。
それから、会社の近くのスーパーで着替えて、さぁ出発。
けんじが電話をくれて、
『気をつけてな』
と。
既に飲み始めていたらしい彼はテンションも高めで、
そんな彼と会話することで、わたしのテンションも上昇。

一人で運転をして、県境を越えるのは初めてだった。
もともと大して運転好きではなく、運転だって遠くて海までくらいなもの。
それが今日150キロも走らなきゃいけないなんて。
増して、仕事の後だ。
雨が降っていなかったのが、これ幸い。
とは言え、2年暮らしたナガノに帰るのだ。
うちの親は車で来たりしていたし、あのひともあのひとも、
わたしを車でニイガタからナガノまで(もしくはナガノからニイガタまで)送ってくれたこともあったし、
要するに道は頭にも身体にも染み付いてると自負していたのだ。
で、結果はと言えば。
見事に道を間違えていた。
どんどん記憶と違う道を走っていたけれど、間違いかどうかがさっぱり分からなかった。
だけどいい加減間違いに気付いて、どうしようか困った。
とりあえず、道路地図を持っていそうな啓介に電話した。
出てくれない。
次に、ネットで調べてくれそうなみっちゃんに頼んだ。
だめ。
仕方なく、たまたまあったコンビニで道路地図を立ち読んだ。
どうやらわたしは、
国道17号と国道117号を間違えていたらしく、
十日町と六日町を間違える結果になった、らしい。
地図の読めない女じゃなくて良かったと思う。
(方向音痴だけど)
正解の国道17号に戻るための道も発見。
その道は急斜面急カーブの、走り屋さんオオハシャギの峠だった。
もちろん側面は一応の壁。突き抜けたら即死は必至。
荷物は車の中で舞うわ、気持ちとは裏腹に加速するわ、
正直二度と、走り屋さんの男は要らないと思った。
ぃや、どうでもいいけど。
正解のルートに出たらみっちゃんがメールくれたので、
今の興奮を実況報告した。
その後啓介にも。
友達には感謝する。
それからは順調に、通った覚えのある道をひたすら辿った。

やっとナガノに入った10時半。
けんじが電話くれた。
飲み会が終わって、一旦家に戻ってシャワー浴びて着替えてから会う、とのこと。
結構飲んだらしく、ハシャギまくってるのが伝わった。
寝てしまいそうなくらい酔っていたので、そこからは更に飛ばした。

で、けんじのうちの近くに着いたのが、11時過ぎ。
電話→出ない。
電話→出ない。
電話→出ない。
そりゃ最初は不安だった。
電話に出ないのは故意なんじゃないかって。
本当は会いたくなんかないんじゃないかって。
やっぱり騙されてるんじゃないかって。
でも、どうやら本当に寝てしまったらしかった。
ひたすら、電話し続ける。
大抵、ポケットや身体の近くに携帯を置いて寝る彼は、
夜中にわたしが思い立ってメールしたりするだけで目を覚まして、
翌日怒るくらいなのだ。
起きてくれないと困る。
必死だった。
はじめは懐かしい市内をぐるぐる回ってみた。
3月まで暮らしていたアパートにも行ってみた。
懐かしくて、
実家に戻った一ヶ月ちょっとが本当は夢で、昨日も一昨日もここで暮らしていたような気すらした。
でもけんじは起きなかった。
けんじのうちの近くのデイリーの駐車場で、駐車。
ひたすら、電話。
起きない。
そうこうしているうちに、突然。
けんじの携帯の電源が切れたのだ。
ナガノに着いて、けんじに電話し始めてからすでに2時間近い。
充電が切れたらしい。
いよいよどうすることも出来なくなって、やっぱり凹んだ。
わたしは何をしにここに来たんだろう、とか、
神様はここまでして、わたしとけんじを合わせたくないんだ、とか。
そこに啓介がメールくれた。
『無事着いた?』
なんて、心配メールだったけど、嬉しくてまたも頼った。
『着いたけど、彼と連絡つかなくて』
すると電話。
『だいじょぶか?』
突然泊めてくれそうな友達もいなくて、何故か孤独で押し潰されそうで、
自分は出来ることを全てやったはずなのに、なんだか不備があるような気すらして。
不安だったのだ。
啓介がいてくれてよかったと思う。
運転や仕事の疲れが出てきて、横になったら動けなくなった。
春とは言え、まだ夜のナガノは寒い。
車の中で、暖房を点けて、制服を布団代わりに、寝る体制に。

3時を過ぎて、けんじからの電話で目が覚めた。
本当に嬉しかった。
起きてくれたことに感謝。
場所を告げると、しばらくしてマジェスタが駐車場に現れた。
久しぶりに見る彼のマジェスタ。
移動はわたしのヴィッツになった。
運転は彼だけど。

けんじくんは相当飲んだらしく、
ホテルに着くまでにも何度か吐いた。
ホテルに着くなり、爆睡。
冷たく絞ったタオルをけんじのおでこに乗せて、わたしはシャワー。
けんじは相変わらず寝ていて、わたしは疲れているはずなのに目が冴えてしまった。
お腹も空いて、おせんべいとビールでお腹を膨らませて、
寝ようと思ったらけんじが起きた。

そこからやっと、始まった。
少しは楽になったのか、やっとわたしに興味を示し始めた。
『ひさしぶりじゃん』
『元気だった?』
『お前変わんねぇなぁ』
『俺日焼けしたでしょ』
『ホラ、俺痩せたしね?』
『髪伸びた?』
会話のテンポも彼の目も声も手も変わらなくて、
嬉しくて。
胸板の厚いけんじの腕枕は高すぎて、正直寝心地は良くないけれど、
何故か何故か安心できる。
その感覚が健在だったことも嬉しくて、
そう、嬉しすぎた。

明け方二人で寝付いて、それなのに9時に目覚めた。
『お腹が空いた』
と、二日酔いの分際でそんなことをけんじが言い出したので、
部屋にいたままゴハンを頼んだ。
予想通り届いたゴハンは不味くて仕方なかったけど、それも思い出。
その後は何故か二人で朝っぱらからAV批判をして、
シャワーを浴びてホテル脱出。

“嬉しい”、“幸せ”、に支配された時間だったけれど、
状況を考えれば笑えない部分もある。
わたしのヴィッツは運転席と助手席の間にギアがあるのに、
酔った彼はハンドルの脇にギアを探して。
あー、まいこちゃんの車はそっちに付いてるんだぁ、なんて。
ホテルを出て行く当てもなく彷徨って、
『こんなとこ見られたらなんて言い訳しよう?』
『え、彼女に?』
『うん』
『愛人です、とか言っておけよ』
『それで信じて・・・くれるわけねぇよな』
『修羅場になっちまえ。ざまぁみろ』
なんて言い返しつつも、
ここはけんじとまいこちゃんの暮らす街なんだなぁ、なんてしみじみ感じてしまった。

結局行く場所も見つからず、
パチンコ。
で、結局4時間も過ごした。
わたしはパチンコしないし、見ているのにも飽きて、
途中眠くなって車で寝てた。
目が覚めてもけんじはパチンコに興じていたのでびっくりだ。

3時半に、彼をマジェスタまで送って、別れた。

あっけなかった。

けんじが電話をくれた。
一度会ってまた身体が離れて、やっと淋しさを感じたらしい。
淋しいね。
帰りたくないな。

帰りの道は何故か混んでいて、行きは3時間半かからなかったのに帰りは4時間半もかかってしまった。

会えば会った分だけ好きになるのは、わたしだけじゃないよね。

『ね、一昨日よりも今日のほうが、わたしのこと好きでしょ』
『そんなことねぇよ。変わらず好きだよ』
『ホントかなぁー』
『ただ最近忙しかったんだって。だから電話も時間合わなくて』

だいすき。








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