2004年7月7日ii


啓介がメールをくれたので、藁にもスガル思いで電話してみた。
啓介はマブダチ中のマブダチだ。
『そもそもお前おかしぃんだよ。普通そいつに彼女がいるって分かった時点で諦めるだろ』
なんて今更けちょんけちょんに否定。
わたしって根っからの愛人体質ですからね・・・。
団長にけんじのことを話せ、と言われた。
話さなかったら佐野くんのときみたいに失敗するぞ、と。
最近のわたしの進歩は、みんなの言うことをある程度まで“励行”として受け止められるようになったことだ。

ぶっちゃけ、団長との約束はドタキャンしてしまった。
ナガノから家に着いたら発狂寸前で蛍どころじゃなかったのだ。

泣きながら啓介と電話で話して、
(話している最中にもけんじへの想いが溢れてしまった)
落ち着いて電話を切って、団長に電話した。

まずは今日のドタキャンを謝って、埋め合わせに土曜の夜ゴハンを食べに行くことにした。
なんつーか、順調。
このままけんじのことを話さずに、隠し通して、うまくやっていけそうだった。
だけど。
ため息を一つ。
『ホントは話したいことがあったんだ』
『なに?』
『いい話じゃないよ。いやな話。わたしが聞かされる立場だったら、多分嫌いになると思う』
『俺も。話したいことあったんだよね』
『いい話? 悪い話?』
『ヘビー級に重い話』

わたしはけんじの話をした。
団長が撮った成人式の写真で、わたしはばっちり左手薬指に指輪をしていて、
団長もうすうす気付いていたらしかった。
『そのひとのこと忘れるために、俺を好きになった?』
『そんなこと、ない』
『じゃぁいいじゃん』
と、意外とカラッとされてびっくりした。

団長の話は、
『俺もあずみと似たような感じ』
で始まった。
『実は、連絡を取ってなかった彼女がいたんだ』
『うん』
『こないだの日曜日、会って別れてきた』
と言われたときには、
『別れちゃって良かったの? あんな話聞かされて、後悔してない?』
なんて聞いてしまった。
『んー・・・ちょっと早まったかもね・・・』
とか正直に言う団長も団長だと思うけど。

正直、団長の話はわたしに大して影響を与えなかった。
それは多分、わたしの中での団長の存在の小ささの表れで、
わたしはどうやったってけんじが好きだったし、
うん、そうだ。
わたしは団長にけんじの話をして、振られてしまいたかったんだ。
なのに。
わたしはまた団長に嘘をついた。
もっとストレートにけんじとのことを話せていたら、きっと振られただろうに。

むしろ逆に、そのヘビー級なお互いの話が小道具と化して、
わたしたちの新しい恋愛はまたも盛り上がってしまった。



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