2003年12月22日ii


22日の終わりかけ。
朋央からメールが入る。
『暇なんだけどドライブ行かない？』
朋央とは小学生からの付き合い。
特別仲が良いわけでもなく、
常に無意識に一定の距離を置いて付き合ってきた、ように思ってた。
言ってみれば、外側の友達だった。
高校の頃はよく登校の電車が一緒になって、よく下らないことを話してはいたけれど、
お互いの恋愛について話すようになったのは、ここ２ヶ月くらいからだ。

最近よく思う。
悩みのない恋愛なんて、ないんだって。

朋央の話はこうだ。
高校時代の元クラスメイトが好きで、２ヶ月前に告白したが、振られた。
振られた後で、二人で遊んだ。
その後、彼女に彼氏が出来たことを知った。
しばらくして、連絡も取らずにいたら彼女からメールが来た。
『バイト辞めたんだ』みたいな、普通の。
彼女の気持ちがわからない。と朋央は言った。
振った相手に、どうして連絡を寄こすのか。
彼氏とはうまく行ってないんだろうか。
それとも、自分を保険に考えてるだけなんだろうか。
これと並行して、もう一つ。
朋央が元クラスメイトに振られた後で、バイト仲間に告白されたらしい。
友達としか見ていなかったひとからの告白。
とりあえず二人で遊ぶことにした。
それでうまく行きそうなら、付き合ってみようとすら思っていたようだった。
でも、その子と一緒にいたら、疲れたらしく。
付き合わない方向で。
それから、もう一つ。
これは蛇足に過ぎないんだけど、
バイト仲間の子は、朋央に告白した直後、別の人に告白されたらしい。
断ったみたいだけど。
で。
これらの話を踏まえて。
どうしてこうも、みんな一方通行なんだろう。
変えることのできない流れのように思われて、ちょっとじれったい。
不思議だ。
朋央は自分が振られて、その後で振る立場に回って、
元クラスメイトの気持ちがちょっとわかったかも、と言った。
『じゃぁさ、これからバイト仲間の子がどう動いたら
朋央はその子と付き合ってもいいって気持ちが生まれるの？』
と聞いてみた。
『んー・・・どうがんばられても、今は無理かな』
ひとの気持ちなんてそのひとにだって分からないくらい複雑なもの。
朋央と元クラスメイトが、同じ気持ちじゃないといいなって思う。

わたしの話も聞いてもらった。
話を聞いてもらってる間に、けんじくんが電話をしてきた。
友達と飲んでいるらしい。
電話で絡まれたって困る。
『お前今、男といるだろ』
嫉妬だ。
別れたのにね。
自分が別れを望んで、別れを選んだのにね。
酔ってるときに出るのが本音なんだとしたら、
ヤッパリやり直したい。
朋央にリアルタイムで相談。
『何考えてるのかわかんないね』
うん。うん。
『付き合う気はないけど、お前を誰かに取られたくないってことなんだろ』
そうなんだよねぇ。
『このままの関係でもいいって思うなら俺は何も言わないけど、
自分から断ち切るってのも一つの手なんじゃないの？』
うん。
わたしは、彼がわたしとどうなりたいのかわからない、以前に、
わたし自身がどうしたいのかがわかっていないんだと思う。

３時頃家に帰り、
『早く帰れよ。帰ったら電話しろよ』の言葉通り、けんじくんに電話。
寝ているだろうと思って、ちょっと鳴らして切る。
10分後に電話。
『・・・さ、さぁぶぅいぃー・・・。・・・死ぬぅー・・・。』
この世の終わりかと思った。
やっとおうちに帰って来たらしく。
『・・・さむいんだけど・・・ヒーター付かなくて・・・』
ここは出来るだけ優しく優しく対応する。
会話にならない会話を続けているうちに、寝息が聞こえてきたので電話を切った。
かわいいやつだ。