2004年2月21日ii


酔った。

けんじくんが飲みに来た。
わたしも一度会ったことのある友達Cと、もうひとりの3人で。
一度会ったことのある友達Cは、優しいひと。
前に会ったときも酔っていて、
けんじくんが彼の家まで送って行く車に、わたしも一緒に乗っていた。
あの日は確か、わたしとけんじくんはラブホに泊まった。
その車の中で、けんじくんが道順を電話でCの彼女に聞いている間に、
『けんじをよろしく頼むよ。
こいつは本当に一途な奴だから。
裏切らないでやってくれ』
そう言われた。
この一言は、結構わたしの中に大きく響いた。
まだけんじくんをよく知らなかった時期だ。
今となっては、彼の一途さは信用度に欠けるけど、
それでも彼の友達だったCに認められたような気がして、嬉しかった。
だからわたしは、Cはすべてを知っていると思っていた。
でも違った。
Cは未だに、わたしをけんじくんの彼女だと思っていたらしい。
噛み合ない会話。
疑問と苛立ち。
『え、まだ付き合ってるんでしょ?』
Cが言う。
『やっと本気で好きになれるひとに出会えた、って言ってたじゃん』
と、Cがけんじくんに。
『あれ? まだ付き合ってたんですっけー??』
わたしは茶化してけんじくんに聞く。
けんじくんは答えない。
酔って、『愛してるよ』なんて言うだけだ。
二人の間の微妙な空気をCは読んでくれて、
『一度別の場所で話そう』
と、美味しい焼き鳥屋さんに誘ってくれた。
何故か泣きそうだった。
どうしてだろう。
この人たちはまいこちゃんの存在を知らないんだろうか。
それともグルになってわたしを騙しているんだろうか。

けんじくんたちが帰った後、仕事の合間に電話してみた。
『何なのよ』
つい絡んでしまう。
『なんでまだ付き合ってるなんてことになってるのよ?』
『あいつらとも全然会ってなくて、別れたこと話してなかったんだ』
ただ話す機会がなかっただけ、か。
『でも、やっと本気で好きになれるひとに出会えたってのは本当だ』
嬉しがる自分が嫌になる。
『別にお前のこと嫌いなわけじゃないし。今でも好きだし』
疲れてしまった。
『別れたこと言おうが言うまいが、関係ねぇだろ』
『そういうのすごくしんどい』
言ってしまった。
『本当は何にもないのに周りは付き合ってると思ってるのとか』
『誰も思ってねぇよ』
『現に噛み合ってなかったじゃない。
それに、そういう風にされて嬉しがっちゃう自分も嫌』
『なんだそれ』
泣きそうだ。
『あんた、わたしにどうして欲しいの?』
『・・・お前こそ俺にどうして欲しいんだよ?』
『・・・騙されてるならいっそ、最後まで騙され続けたい』
『言いたいことあるならハッキリ言えよ』
まいこちゃんのことを言ってしまいそうになる。
ダメだ、ダメだ。

嬉しかったことを思い出そう。
後味の悪い思いは嫌。
『あずみ』
彼が呼ぶ、わたしの名前。
『温泉行こう』
予定を空けてくれそうな雰囲気。
『お前のためにボウズにしたんだぜ?』
・・・それはないだろうけど。
触り心地のいい頭。



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