幼き夢と今・・・・



おれのゆめ

    しょとうか2ねん るしーど・あとれー

おれのゆめは、ほあんきょくいんいになって
とーさんとかーさんやみんなをまもりたいです。
んでもって、『わかどしより』なぜふぁーよりつよく
なりたいです。
だからおれは・・・・・・・・


 こんな、カビの生えたような作文のコピーが故郷の両親から

元気ですかルシード。
先日屋根裏部屋を掃除をしていたら懐かしいものが出てきてアイラさんに
見せた所、ルシードにも見せようと言う事になり。
早速、昨日焼いた差し入れのお菓子とともに送ることにしました。
幼い頃の夢に近付きつつある今ですが、初心を忘れることなく勉学に
励んでくださね。

それと、寒くなってきたので今年もセーターを編みましたので一緒に
入れておきますv柄はアイラさんの希望で私たちとお揃いですよ。
では、この辺で・・・

追伸:お菓子は寮のみんなで食べてくださいね。

 父より
やっほー元気してる!
多分あんたの事だから元気だろうけど、運良く安定した職種に就けるん
だから本決まりするまでしっかり猫かぶんなさいよ。
そうだ、ゼファーがあんた宛にこの間手紙よこしてきたから同封するわv
何時もこんなのだと送料浮いて助かるんだけどねぇ・・・
あのガキ住所知ってんなら直に出しゃいいっうのに。

ま、やるだけやって自分の食い扶持は稼げるようになんなさい!
あんた私に似て美人だから其処は問題ないけど、フラッシュの大ボケも
似てるんだから自分の身はちゃんと守りなさいよ!
この世の中、身の程知らずの馬鹿が多いんだからね。

以上v美人で優しき母より♪


と、各々の性格がでまくりの手紙とともにルシードの元に届いたのは数日前・・・

「ルシード・・・また反省文か」
 放課後の図書室で作文用紙と格闘している青年に、同じ歳位の青年が声をかける。
「悪かったな、邪魔だからさっさと帰れよローワン」
 あからさまにからかう口調に、ルシードは宝石にも似た赤い瞳でローワンを睨みつけると、
「んっ・・べ・・別に構わないだろ・・・・」
何時もと変わらない言葉を返してきたが、一瞬ルシードにはローワンが赤面したように見えた。
『夕焼けのせいだよな・・・男見て赤面するなんて変わりもん居る訳ねえし』
ルシードは気にしないことにし再び作文用紙へと向かう。
 だが、実際は大当たりで・・・
 女性とも取れるぐらいの美人顔にローワンは見事に赤面していた。
『・・・・ぬ・・抜かった・・・まともに至近距離でこいつの顔見るときには心構えしてねぇとヤバいっての
に。大体、何で男の癖にこんなに色っぽいんだよコイツはっっ!!』
 通常はこの言葉を聴くとローワンだけが変わった嗜好の持ち主に思われるが、相手がルシード
の場合この保安学校に通う生徒の大半が同様の答えを返す。
 長い睫に柘榴石の瞳・日に焼けにくい白い肌・薄紫色の髪・スラリとした体・・・
 そして、人目を惹く美人顔と時折見せる艶っぽい雰囲気(本人無自覚)
 共学とは名ばかりの、禁欲的な全寮生活を送る自由の少ない保安学校の男子学生にしてみれ
ば。 こんな奴野放しにするんじゃない、と叫びたくなるぐらいに邪な煩悩を煽るのは言うまでもない。
「それにしても今回は何だ?また喧嘩かよ」
 ルシードの真向かいにある椅子に座りローワンは心の動揺が悟られないよう尋ねる。
「ん、まあな。相手の奴がドジって担任に見つかっちまったんだよ」
 別に話したくはないが、ほっとくと五月蝿いし変な方向に噂でも立てられると面倒なのでルシード
は渋々答える。
「俺が気にくわねぇてだけで集団で突っかかってきやがって。ったく、体育倉庫の鍵はかけるし
『楽しませろ』なんて言いやがる・・・・
思わず腹が立ったもんで手加減忘れちまったら教官に見つかってこのざまだ」
 そう毒づきながら入学する際にお隣の幼馴染が言っていた言葉を思い出す。
『先手必勝、変な力を溜め込んでいる奴らが多いからやられる前に殺せ・・・良いなルシード』
 その時はよくわからなかったが、今となっては骨身にしみている・・・・
「なんだとっ・・・・・・・・そんなことされたのかぁ!」
「・・・・はぁ?」
 あまりのローワンのど迫力にルシードは首を傾げる。
「『楽しませろ』の意味だっ!もしそれなら、あの魔王が・・・・うぁぁ〜どうすんだよ、そうなりゃ
俺達寮生はまず無事じゃねぇぞ」
 そう言うや否や、ローワンは何かに怯えるように教室の片隅に隠れ震えだす。
 何がなんだか判らないルシードは取り合えず自分には害がないことだと判断し、震えている級友
よりも目の前の問題を片付けることに精神を集中することにした。
「さーて、全て完了。おいローワン何時まで振るえてんだよ。帰るぞ」
 書き慣れている為か下校時刻までには何とか終わり、職員室にい居る担任に提出ついでに
お小言をもらったせいか親父くさく肩をコキコキ鳴らしながらルシードは教室に戻ると帰り支度を
しながら、未だに震えているローワンに声をかける。
「あ・・・・ああ」
 まだ顔が青ざめているローワンの様子にルシードは先ほどのことについて尋ねてみた。
「魔王って・・・ひょっとしてゼファーの事か?」
「それ以外に誰が居るてんだっっ!」
 半分冗談で言ったのだが見事に図星なのか、その証拠にローワンの答えは叫びに近い・・・・・
「で、その魔王ことゼファーがお前らに一体するてんだ。俺が喧嘩売られて相手のして文句言わ
れる筋合いはねぇだろうが」
「十分あるわっ!!この前の
『謎の保健室爆発事件』『ホモ教員謎の襲撃事件』『寮祭宴会事件』
の被害者全てお前に迫ったり、押し倒したり抱きついた奴らだろうが!」
「あ〜そうかぁ?」
「そうか・・・じゃないっっ!!!それ以外にも、お前と同室の奴が逃げるように故郷に帰ったのは夜な夜な
あの魔王が枕元に立ち言うのも恐ろしい言葉を呟いていたらしいし。
夜這いをかけようとした連中は3日間魔王の悪夢にうなされていたんだぞ」
 涙を浮かべる級友をみて、ルシードは此処まで忌み嫌われている変人な故郷の幼馴染を思い
出すがどうにもピンと来ない。
「そんなのただの偶然と思い過ごしだろ、大体ゼファーは港町のシープクレストに居るんだから
此処まで来れるわけはねーし。
仮に犯人がゼファーだったとして、其処までするのに意味があるのかよ」
 知らぬは本人ばかり・・・・見事に大呆け無自覚なルシードの言葉に一人で騒いでいたローワンは
がっくりと肩を落とす。
「・・・・もういい、お前に言ったのがそもそもの間違いだしな」
「はぁ?」
 全くわかってないルシードを尻目に、諦めの極致に達したらしいローワンはふらふらと自分の荷物を
纏めだす。
「まっいいか、んじゃ帰ろうぜローワン」
「・・・・ああ・・・」
 二人は学校から寮へと続く道を歩きながらそれぞれの思いにふけっていた・・・
 ローワンは溜息をつきながら、周囲はどうなろうが自分だけは魔王に悟られずにこの
『口喧嘩が出来る級友』の立場だけは死守しようと夕日に固く心に誓い。
 一方ルシードは、故郷を思い出すような夕焼けにあの文章を思い出す・・・


だからおれはぜふぁーにひとあわふかせるぐらいにつよくなる。
それで、ほあんきょくでそうさいんになってわるいやつらは
かたっぱしからつかまえる
『びんわんそうさいん』てものになりたいです。

だから、ぜったいぜふぁーにままけないです。



 今見てみると余りにも単純なものなのだが。
 あの頃の夢に近い場所に居る自分・・・
 無論、幼馴染のゼファーは自分より遥かに先に居てまだ追いかけている最中だけど追い付く自信は
十二分にある。
「そういやアイツ元気かな。まだ手紙見てねーけど返事出してやるか・・・作文のコピーつきで」
 手紙の最後には同じ言葉を添えて・・・・
 遥か遠い土地に住む幼馴染兼好敵手にルシードは、少し意地悪く微笑む。


 そんな、若い二人の青年が黄昏の中思い思いに青春を謳歌している頃。
 とある中州にある建物の一室では・・・


「ふっ、あの虫め間抜けそうだが以外と頭はあるな・・・まあいい、ルシードにもごく普通の何も出来ない
ヘタレな友と言うのもは必要だしな今回は見逃してやるとしよう。
しかし、今回の不埒モノな連中にはキツイお灸をすえないとな・・・・
丁度上層部から、謎の呪いアイテムの調査を頼まれた所だ、実験台としてせいぜい役立ってもらうか」
 冷静に恐ろしい事を平気で言うのは、ゼファー・ボルティ22歳。
 知的で黙って居れば美青年な彼だが
『歳の割りにじじむさい』『腹黒・裏工作・呪いはお手の物』『多芸多趣味』
が代名詞のはっきし言って変わり者。
 ついでに言うと『重度のルシード溺愛人間』!
 そんな彼の日課は毎日寮及び学校に仕込んだ魔水晶から、愛しい幼馴染の姿を眺める事
・・・世間一般で言う所の盗撮&盗聴であり、愛しいルシードに近付く虫の駆除。
 謎の術具を手に魔法陣に向かう姿は、実に怪しく楽しそうに笑みを浮かべまさに魔王そのものの
表情で呪文を唱え始める。


それからも、 シープクレストの空の下では呪いの呪文が響き・・・
保安学校での謎の連続事件はルシードの卒業まで続いたと言う・・・・


終りv
あとがき

111HITの羽波嘉月様のリクで『保安学校時代のルシード』ですv
なんか、どう足掻いても腐女子のせいか少々?乙女向けですが貰って下さいませ!
個人的にルシードは保安学校時代から男性女性関係なく人気が会ったと思うんですよ、
本人は無自覚で周囲が振り回されているような感じかな。
保安学校については設定がわからんところ多いので、手元にあった資料を参考に作った
ものです。(警察学校は全寮制で男女別て点だけですが^^;))
後、ルシードの両親設定は言わなくともネタがわかるかと(笑)

これもリクが無い限り書かない設定なので、羽波嘉月様リクありがとうございます!



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