2004年3月8日


日々変化。
わたしの心境と、けんじくんの言葉。
日々発覚。

今日発覚したことは、本当の彼女の存在だった。
つまり、まいこちゃん。
本当の彼女の存在を認めたのだ。
まさか本当にカミングアウトするとは思わなかった。
びっくりした。
夕方の電話の中で、彼はそれを認めて、
仕事だったわたしは、時間もなく切ることしかできなかった。
切り際、彼は
『仕事終って俺起きてたら行くわ』
と。
ちゃんと会って話す道を選んでくれたことに感謝。

つまり、3,5人中の1人はまいこちゃんという本当の彼女だったわけで、
わたしは残りの2,5人に属するわけで。
ショックだった。

仕事先に珍しく社長が来ていて話した。
『お前今男いるのか?』
社長は何気に、わたしのことを知っている。
『うーん・・・微妙・・・』
そう答えたわたしに、
『いつからだ?』
『10月くらい?』
『あー、じゃぁ転がり込んでた男の次か』
憶えててくれてるとは思わず、びっくり。
『その居候を追い出してくれたのが彼だったんだ』
と言ったら笑ってた。
『今日、二股が発覚してさ。仕事の後会って話すの』
弱いな、自分。ここで言うことなかったのに。
『そうか。何かあったら電話しろよ?』
昔、わたしに手を出しかけた社長だけど、いろいろあったお陰で楽に話せる。

仕事は暇だった。
暇すぎて、0時にあがれた。
けんじくんに電話したら起きてくれて、来てくれることになった。

3,5股が発覚する以前、
わたしがひとりで、けんじくんの彼女はまいこちゃんだって信じて疑わなかった頃、
わたしは何故だか、まいこちゃんは信頼していた。
けんじくんがまいこちゃんに本気で、好きで大切に思ってると信じていたからか、
けんじくんに会えない日は、“まいこちゃんか”と思うことで、安心していられた。
まいこちゃんは本当の彼女で、わたしは単なる浮気相手で、
お互いのフィールドが違うから、
まいこちゃんとけんじくんの付き合いと、わたしとけんじくんの付き合いは影響を及ぼし合わない、
とすら考えていた。
会ったことも、これから会うこともないまいこちゃんだけど、
彼女を信頼していたのだ。一方的に。
でも、3,5股が発覚してしまった以上、それは変わってしまった。
わたしと同じフィールドに、他に1,5人がいるってことは、正直脅威だ。

まいこちゃんの名前を初めて聞いたセブンで、
今度はけんじ本人から、まいこちゃんの話を聞くために待つ。
マジェスタが来た。
乗り込んでも、無言。
車はわたしのアパートへ。
部屋にあげるつもりなかったのに、寒くて結局あげた。

まずは、けんじくんの話。
『初め店で会ったとき、最初はただ、あーコイツとやりてーって思ったよ。
好みだったしね。
でも会う回数が増えて、ここにも来るようになって、
だんだんお前の存在が俺の中で大きくなっていって、
今は、どっちも選べない。
どっちも好きだし、どっちも大事』
最低なわがまま男。
わたしはもう、覚悟を決めていた。
『彼女のこと好きなんでしょ? 大事なんでしょ?』
『・・・うん』
『わたしよりも彼女のことが好きで大事なんでしょ?』
『お前のことも好きだし大事だよ』
『わたしのことなんて聞いてねぇんだよ。彼女の方が好きなんでしょ、って聞いてんの』
『選べねぇよ』
『ちょっとは申し訳ないなって気持ちはないわけ?』
『お前に対して? 嘘ついてたことは申し訳ないと思ってるよ』
『彼女に対しては?』
『関係ねぇじゃん』
『関係なくないっつーこと』
で、わたしの決心はこうだ。
『わたし、身を引くよ。彼女がかわいそうだもん』
そう話していて、泣かなかった。
でも身体が震えて、深いところに堕ちていく感覚。
こういう感覚の後、わたしは危ない状況になる。
それを食い止めようと、わたしは左手の爪を右腕に食い込ませた。
何故かけんじくんが泣いていた。
ぼろぼろと。
見ていたら、わたしも泣けてきてしまった。
泣きたいのはわたしの方。
『彼女に返してあげる』
もうそうするしかないと思っていた。
『彼女のところに帰りなよ』
と。
『けんじくんは絶対、わたしを選ばない』
わかっていることだった。
まいこちゃんの存在を知ったときから。
『自分は、わたしよりも彼女の方が好きで大事でしょ』
『どっちかなんて選べないよ』
『ううん、彼女の方を選ぶ。絶対』
『お前を好きな俺の気持ちはどうなるの?』
『わがまま言ってるんじゃないの。彼女のところに帰ってあげなさい』
『やだ』
『わたしは身を引くから』
『やだ』
もう駄々っ子だった。
『お前はそれでいいの?』
『・・・よくないけど、その方が彼女のためだし、けんじくんのためだもん』
仕方ないじゃない。
わたしは、まいこちゃんには幸せになって欲しい。
何故だかわからないけど、そう思っていた。
そのためにはわたしの存在は邪魔だろうし、
もしもわたしの存在を彼女が知ったら、きっと悲しむ。

でもけんじは譲らなかった。
わたしも譲らなかったけれど、彼も譲らなかった。
『お前が引いても、俺は引かない。電話もし続ける』
平行線。
『ずっとずっと待っててあげるから、いつかちゃんとわたしを選ぶときに、戻っておいで』
ずっとずっと好きだから。
悔しいけど、好きだから。
『本当に待っててくれるの?』
『うん。ずっと待ってる』
『いつか必ず、迎えに行くよ』
それが取り繕いだってことくらいわかってる。
わたしの“待ってる”だって、今は本気でもいつか変わってしまうだろう。
それでも、“待ってる”の一言で彼は安心したようだ。
わたしがいなくなるわけではないこと。
わたしを失うわけではないこと。
『好きだよ』
『大好き』
お互いのこの気持ちに嘘がないことを信じ合って。

『実家に戻って、何かあっても、俺がいるんだから何でも相談しろよ。
お前はいろんなことをひとりで考え込んで溜め込む癖があるから』
わたしの理解者。

ただ、“身を引く“というわたしの決意には断固拒否。
仕方ないので、歩み寄り。
『じゃぁ、もうここまで話したんだから、もう嘘はつかないこと。
彼女と会うときはちゃんと言うこと。
それから、わたし以外の1,5人は絶対切ること』
『わかった』
彼は明日も明後日も今まで通りに電話をくれるだろう。
でもわたしは今までと違う。
まいこちゃんの邪魔にならないように、
彼を奪わないように、
ふたりが幸せになるように、
日陰の女に徹する。

重い話をしていたのに、甘い時間だった。
キスもハグも、彼の全てがやっぱり大切で、
好きだと思った。

『あんまり考え過ぎるなよ』
帰り際そう言った彼。
『てめぇはちゃんと考えろよ(笑)』







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