2004年3月9日〜11日


旅に出た。
一人旅だ。
目指すは高知。桂浜。
別に、衝動で旅に出たわけじゃない。
こんなに自由な時間が取れるのは今しかない、という焦りもあったし、
もともと、どうしても桂浜には行ってみたかった。
高校時代の友人、ゆきちゃんが徳島にいる今の方が行きやすいようにも思えたし、
とにかく、今が行くべき時だと思っていた。
行きたい気持ちだけが先走って、身体は付いて行かなくて、
高速バスの予約も、ギリギリにした。
言ってみれば、わたしの身体にとっては、衝動的な旅行でもあったのだ。

9日。
けんじくんが明け方帰ってから就寝。
10時にけんじくんから電話で起こされる。
何も変わらない。
『今日旅行行くんだろ?』
『行かないで欲しい?』
『うーん・・・』
引き止められても行く気だった。
電話の後、身体を起こそうとした瞬間、ネックレスが切れた。
ショックで、けんじくんにメール。
お昼にまた電話。
『ネックレス切ったって?』
『うんー・・・ごめん』
『旅行行く前に直してもらえるか聞いてみろよ』
で、一旦切られた電話。が、直後また鳴る。
『仕事終っちゃった』
なんと半日で終ってしまったらしい。
『じゃこれから行くわ』
『は?』
というわたしの言葉はシカト。
で、来てくれた。
仕事帰りで友達付きだったけど、会えて嬉しかった。
二人が奮闘して、切れたネックレスは元通り。
やや不安だけど、これがあるから頑張れそうだ。
二人に駅まで送ってもらって、旅立つ。

メール。
『旅行の前に会えて良かった』
これはけんじくんから。
『ネックレスだいじょぶかな。不安だけど』
『大丈夫だよ。愛の力で繋がってるよ』
なんて、お前はそんなキャラじゃねぇだろ(笑)
と、にやけ半分で、
『ありがと、だーりん。愛してるよ』
は、正直な気持ち。
もうわたしのダーリンじゃない彼に。
もう彼には甘えちゃいけない。
もっと強くなるんだ。
ひとりでもダイジョブな強さが欲しい。

心配性のけんじくんは、旅行中もいっぱいメールやら電話やらくれた。
“しなの”に酔って吐きそうなわたしの気を紛らわせてくれて、
ひとりで頑張るための旅なのに、それでもやっぱり彼は支えだった。

旅行は紆余曲折たっぷりだった。
予定していた夜行列車が運行していなくて、姫路で足留め。
やむなくビジネスホテルに宿泊。
タクシーの運転手には少々腹が立った。
翌日は少々寝坊して、お昼頃四国入り。
やっぱり南はあったかい。
高知に着くと、勢いで野市の龍馬歴史館へ。

けんじくんからメール。
『女切ったよ。安心した?』
こんなに早くそんな話が聞けるなんて驚いた。
でかした、けんじ。

ついに桂浜。
高い高い龍馬像。
ついに来た。来てしまった。
憧れのゴール。
わたしに何ができるかなんてわからないけど、
ちゃんと自分の道を切り拓かなくちゃいけない。
謙虚に。自分を見失わずに。

高知を堪能しきれず、仕方なく予定通り徳島へ。
ゆきちゃんとゴハン、で、ゆきちゃんちに泊めてもらうのだ。
が、徳島に着く直前、りさから電話が来た。
りさが元彼と別れてしまった直接の原因は彼の浮気で、
浮気相手とはもうキッパリ終わりにしたと思っていたし、
5月にりさと彼はやり直すはずだったのに、
その日、彼と浮気相手が今付き合っていることが発覚したのだった。
信じられなかった。
まさに唖然。
まったく理解できない。
りさが心配だ。

心配を引きずりつつ、ゆきちゃんとゴハン。
美味しかった。
それに、久しぶりに会ったゆきちゃんと語らえたのが嬉しかった。
多分わたしは、高校時代と変わってしまったんだと思う。
良くも悪くも。
高校の頃は今よりもギスギスしていて突っ走っていて、
今思えば、あんなわたしと友達やってくれてたみんなは尊敬する。
それが今は、他人に甘えることを覚えた。
弱さを見せることを覚えた。
随分丸くなった気がするけれど、その分何かを捨ててきてしまったように思う。

徳島の夜はあたたかかった。
もしかしたら、夏のナガノの夜と変わらないかも知れない。
過ごしやすい、そう思ったけれど、ゆきちゃんの話を聞くとやっぱりわたしには暮らせない土地だと思った。
そもそもわたしは、雪のない土地では暮らせない。
ゆきちゃんちでシャワーを借りたら、
最中にまたもネックレスが切れた。
明け方だったがけんじくんにメールをしておいて、就寝。
翌日は高速バスによる移動日。
徳島から大阪へ。大阪からナガノへ。
運悪く生理が来た。
先月遅れていたから予想も立てられずにいて、驚いた。
生理痛と戦いながら、ナガノへ帰る。
ナガノに入る頃には日も暮れて、オバステの夜景が綺麗すぎた。
けんじくんともう一度観に来たいけれど、叶わないだろう。
仕事が終ったけんじくんから電話。
『7時半頃着くから迎えに来て』
なんて冗談を言ったら本当に来てくれそうな声で話された。
期待してバスを降りて電話したけど、
『ちょっと後輩に仕事教えてるから』
と、いつもと違う調子の声で言われてしまった。
消沈。
けんじくんに甘えるわけにいかない。
甘えちゃいけない。
靴擦れが痛くて仕方ないので、やけっぱちでタクシーで帰った。
やる気はなかったけど、その後は仕事。
そうやってわたしの旅は日常に埋もれた。



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