2005年12月11日


この間、居候とひさしぶりに電話で話した。
ちょっと用があったのだ。
『オマエ彼氏と別れたか?』
『いや? なんで?』
『早く別れてアイチ県に来い』
彼はアイチ県の実家に戻った。
『やだよバカ』
『この俺がオマエのこともらってやるって言ってんのやから、
さっさと来いや』
どこが好きだったんだろうって思うけど、
本当に最低な男だったけど、
彼が、仕事じゃなくても優しい人だったってことや、
ただの淋しがり屋だってことや、
弱い人だってこと、わたしは知ってる。
だから信じてしまうのだ。
だから断ち切れないでいるのだ。
『どうせオマエは、彼氏に嘘ついていい子ぶってんのやろ』
『んなことないもん』
『とても俺の口からは言えないようなこと、オマエはやってたんやからな』
『手首切ったこと? 知ってるよ。言ったもん』
彼が黙った。
彼のせいで手首を切ったことがあった。
彼が居候していた頃。
本当に毎日が辛くて苦しくて、
毎晩鬱の発作のようなものを起こしていた。
毎晩震えてた。
ある晩何かが切れて、洗い物の後、
手首を切ったのだった。
気付いた彼が包丁を取り上げて、
自分の前にわたしを正座させた。
きっと狂ってた。
彼の顔を見てわたし、泣こうと思ったら笑えたのだ。
自分で自分が気味悪かった。

そのことは彼氏くんには言えてない。

だけど、当時から使っているコーチの赤い革の財布には、
正座の途中で財布をつかんで、部屋を出ようとしたときの、
血の痕が今でも残っている。

『あんたのせいじゃん。あんたのせいで切ったんじゃん』
そう言えるほどに、わたしは強くなった。
きっと強くなれた。



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